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コラム

第1回 本当にPM2.5でいいのか?

2013年の流行語は、「倍返し」「お・も・て・な・し」「今でしょ!」「じぇじぇじぇ」と過去最高の4語が大賞に選ばれた中、テレビを騒がせている「PM2.5」もトップテンに入っていました。また、県名と一緒に検索された急上昇キーワードランキングが、インターネット検索のGoogleから発表されました。それぞれの県についてどんなことが話題になったかが分かるランキングで、鳥取県の第1位はPM2.5でした。つまり全国で「鳥取県 PM2.5」と検索した人が多く、鳥取県のイメージはとりピーでもスナバでも糸電話でもなくPM2.5だったということです。

我々健康影響を調査する研究者の間では、「PM2.5」という言葉はとても使いにくく、一人歩きしていると感じる言葉なのです。皆さんはどうでしょうか、PM2.5は、「子どもに危険」「海外から来た有害なもの」と報道で耳にしたイメージはあるけど、実際にどうしたらいいのか分からないという方が多いのではと思います。

最近になってから、幼稚園や保育園で、PM2.5値が高いときは外で遊ばせない、陸上大会の開催を検討などの対応を耳にするようになりました。保護者の顔色を伺っている部分もあるかもしれません。

重要なことは、今年のPM2.5値が特別に高いわけではなく、今年よりも高い値は、過去に何度も観測されており今始まった現象ではないという点です。このことは「今まで大丈夫だったから大丈夫」「今まで知らないで(有害な)PM2.5を吸入し続けていた」と言い換えることができますが、PM2.5という新危険成分の飛来が今年確認されたという理由で、報道された訳ではありません。

もう一つ重要なことは、PM2.5の成分は、ありとありとあらゆるものであるという点です。砂、ご自宅のほこり、工場、車、火山などから出た粒子のうち微小なものすべてがPM2.5です。無害なものも有害なものもPM2.5なのです。PM2.5のうち何が有害で何が無害なのか、ある程度の目星は付けられますが、きちんと分かっていません。つまり、PM2.5値の濃度にかかわらず、変な成分が飛んで体内に入る可能性はいつでもあります。

天気予報のように、PM2.5予測を確認して対策をして出かける時代はすぐそこまで来ています。しかし、PM2.5値の実態は黄砂なのか越境汚染物質なのか、地元の汚染物質なのかわかりません。成分によって健康影響が異なるので、PM2.5濃度だけで左右されてはいけません。予測を聞いて対策をする個々の情報収集能力と判断と知識にゆだねられてしまっているのが現状です。

(2015.1.16)